サウンドセラピストとして、⾳が⼼と⾝体に与える影響を深く考えてきました。
現代の⻄洋医学では、病氣の原因の⼤部分が⼼の問題、つまり感情や精神的なストレスに起因するとされています。
⼼と⾝体が密接に影響し合うように、⾳もまた、⼼と体のバランスを整える⼒を持っています。
病や不調は、わたしたちの無意識が発する警告であり、シャドー(⼼理学⽤語)として表れるネガティブな響きが「この考え⽅は、あなたに害をなしている」と告げているのです。
わたしたちは、調⾝(リラックスした姿勢)、調息(呼吸)、調⼼(⼼の在り⽅)を基本とするサウンドセラピーを通じて、⼼と体の調和を取り戻すことができます。
⾳楽が持つ癒しの⼒は、わたしにとってかけがえのないものでした。
モーツァルトやシューベルトを聴くと、確かに⼼はリラックスし、癒しのひとときを感じます。
しかし、⻑年クラシック⾳楽に浸ってきたわたしの魂の奥には、それだけでは届かない闇が存在しました。
⻄洋の⾳楽で⿎膜を振動させるだけでは、魂に刻まれた死の刻印に触れることはできなかったのです。
魂に刻まれた死の刻印のことを語るには、時計の針を30年ほど巻き戻さねばなりません。
1995 年、阪神淡路⼤震災は、わたしにとって⼈⽣の転機でした。
⼤地が引き裂かれる轟⾳と倒壊する家屋に⽣き埋めとなった恐怖の体験は、わたしの⼼と体に深く刻まれました。
⾃然は、わたしたちが築き上げたものを⼀瞬で奪い去ることができるのだと、その経験からわたしは⾃然と⼈との繋がり、そして響きの⼒を⾒つめ直すことになりました。
⾃然は、時に厳しい教師であり、わたしたちが忘れかけていた真実を思い出させてくれます。
やがて娘が病氣になり、「10 歳まで⽣きられない」と告げられたその⾔葉は、わたしの魂を引き裂き、暗闇の中へと投げ込むものでした。
⽣きる希望を失いかけた時、わたしは祈り、歌い続けました。
その歌は、ただの⾳ではなく、魂の叫びであり、命の響きでした。
その後、乳がんと甲状腺腫を患い、祈り続けながら、その闇の中で歌うしかなかった時があります。
歌はわたしの⼦守唄となり、命の灯が消えそうな幼い娘を抱きしめながら、わたしは癒されない傷と共に、狂氣の淵に⽴ち続けました。
わたしの中にある⺟性本能、それは⾃分の命に代えてでも守りたいという深い願い。
その本能が、魂に刻み込まれた「死の誘惑」からわたしを遠ざけ、わたしに⽣き抜こうとする⼒を授けてくれました。
そして、その本能が教えてくれました。
答えはもっと繊細で精妙な「響き」の中にあると。