『かつて人は、花や樹や鳥たちと本当に話ができた時代がありました』
かつて、花や樹や⿃たちと本当に⾔葉を交わすことができた時代がありました。
⼈は、太古の昔、宇宙の⼤きな命と⾃分たちの命が⼀つであることを知っていました。
太陽に敬意を払い、⽉に祈りを捧げ、⾵に問いかけ、⽕に願いを込め、⽔に癒され、⼟とともに笑う……それが当たり前の世界でした。
⼈々は⾃然と共に⽣き、宇宙の⼀部であることを肌で感じていたのです。
しかし、時は流れ、技術がめまぐるしい速さで進歩する中で、⼈々は⾃然との繋がりを忘れ、⾃分たちが地球の主であるかのように振る舞い始めました。
⾃然は、もはや友ではなく、利⽤すべき資源となり、花や樹や⿃たちと交わしていた⾔葉は、しだいにに失われていったのです。
⼈は、その⾔葉を永遠に忘れてしまうのでしょうか。
それとも、科学の進歩とともに、もう⼀度⾃然との対話を思い出すことができるのでしょうか……。
「志を果たしていつの⽇にか帰らん ⼭は⻘き故郷 ⽔は清き故郷」
この詩のように、わたしたちは、⾃然への敬意と共に⽣きる道を再び模索しています。
地・⽔・⽕・⾵・空 空海が中国より持ち帰った「密教」の中に含まれていたインドの叡智、⾃然界のエレメント である「五⼤」の響きを感じながら、志を照らす⾳、「志⾳」(しおん)を紡ぎ出す。
それは、⾃分を愛し、慈しみ、宇宙との調和をもたらすための羅針盤です。
わたしは、千ヶ峰の麓に「志⾳の⾥」を設⽴し、⽣涯をかけてその響きを探究しています。